当院の管理栄養士2名が管理栄養士・栄養士の同職種、多職種、病院と地域、医療と介護、予防と医療が連携することを目標としたセミナーに5日間参加させていただきました。
管理栄養士だけでなく、医師や歯科医師、看護師、薬剤師などさまざまな分野の先生から視点を変えて管理栄養士に求めるスキルや期待、技術、事例発表など熱い講義内容でした。

その中で特に印象的だったものを1つご紹介します。
食事の問題は相手の人生観に踏み込むことだというお話がありました。
食事はその人がその年齢になるまで日々毎日積み重ねてきたものであり、今まで過ごしてきた環境、職業、家族との思い出などが背景にあります。
例えば胃瘻を作るかどうか、本人は口から食べたいと話すが家族は難しいと考えている・・・など、患者と家族の思いが常に一緒とは限りません。
それはたとえ親子であったとしてもそれぞれに歩んできた人生があり価値観があるからこそ、正解も不正解もなく意見が違うことはむしろ自然なことでもあると捉える必要があります。
しかし今後のサポートをする際には、しっかり話し合い意見をすり合わせることが必要であり、急を要する場面もあります。
患者の思い、家族の思いを聞き、サポートする多職種も含めて全員で一緒に考え、みんなが同じ方向を向いて支えることが患者自身の人生の満足感にもつながります。
それを支えるためにも今抱えている病気や問題の背景、思いに関して信頼し安心して話せる、聞き出せる関係性の構築が求められるとありました。
特に食事に関しては、生活の中でも踏み込んだ内容となるため、管理栄養士に話すと間違ってると指摘されないか、怒られるのではないかといった心理も出てきます。
普段から診療に関わらせていただく中で、コミュニケーションを大切にし些細な事でも相談できる、相談したいと思っていただくように、
非言語的な部分とともに聞く力を育てることも必要だと感じました。

在宅における管理栄養士の仕事は単に食事や栄養のことだけを伝えるだけでなく、その人の生活にしっかり寄り添い、「食べる」を支えること、
そして食べれない状態であれば食べることができない思いに寄り添い、「食べれない」を支えることも役割とあることを学びました。
さらに食べれない状況であればなぜ食べれないのか。
食欲がない、咀嚼、嚥下、口腔内の問題、買い物や調理生活の自立が困難、ポリファーマシーなど多面的に問題点を考え、対策や解決策を考え食事形態や彩り、
食器、食事環境など様々な面からアプローチすることも「食べれない」を支える事にもつながります。

今回のセミナーでは全講義において多職種連携の重要性を説いてました。
在宅ではケアマネージャーを中心に訪問診療、訪問看護、リハビリ、ヘルパー、入浴などいろんな職種やステーションが介入して患者家族を支えていきます。
多職種と情報や評価を共有することで、本人の強みや弱みをどのケアに活かせばいいのか、どんな専門職に繋げればいいのか、
同じ目標に沿って包括的視点でアセスメントすることが患者家族、そして地域全体を支えていくことにつながるのだと考え、今後も精進していきます。
大変貴重なお話をありがとうございました。

当院では、各種研修会や講演会の依頼も受けております。お気軽にお問い合わせください。
ひのでクリニック