ACPを深めよう ~コミュニケーションスキル“NURSE“~
こんにちは!診療チームです。 「ACPを深めよう」今回はコミュニケーションスキルの1つである「NURSE」をご紹介します! 患者様との普段の関わりでももちろんですが、ACPのお話をする上で、コミュニケーションは欠かせないものですね。 医療的なことをお話するとき、患者様と医療者の両者にはどのような思いがあるでしょうか。 ◯患者様 ・どうして私がこんな病気に! ・このまま弱っていくなんて信じられない・・・ ・元気になりたい、治療を頑張ればきっと治るはず! ◯医療者 ・できるだけわかりやすく伝えたい ・できるだけ希望に沿いたい ・・・などの思いが考えられますね。 治療や病状改善の見込みが難しくなったときなど悪い知らせを伝える際に、医学的に正しいことをどれだけお伝えしても、患者様の感情の波が高まっているときは、内容を把握したり考えることが難しいことがあります。そうなると、悲しいことにすれ違いを起こしてしまうことがあります。 そこで、医療者が患者様の感情の表出を促し思いやニーズを把握したり、思いを受け止めるコミュニケーションスキルとして「NURSE」というものがあります。 「NURSE」の頭文字にはそれぞれの意味があります^^ N:Name 感情を言葉で示す(感情に名前をつける) U:Understand 理解を示す R:Respect 敬意を示す S:Support 支持を示す E:Explore さらに掘り下げて聞く では、事例を通してNURSEがどのように使われているのか考えてみますね^^
*胃癌で治療中のAさん。抗がん剤治療をされていますが副作用が強く、精神的にも落ち込まれています。医師が訪問した際、自分があとどのくらい生きられるのか教えてほしいとお話されました。* 患=患者様、医=医療者(ここでは医師とします) 患:先生、治療を頑張っているけど、毎日しんどいです。この先ずっとこうなんですか?私はあと、どのくらい生きられるんですかね・・・教えてほしいです。 医:Aさん、しんどさもあり不安でしたね(=Name)。 本当に大変でしんどい治療を頑張って続けてこられていると思います(=Respect) 。 今どのくらい生きられるのかと話されたのは、治療の副作用のしんどさからでしょうか(=Explore)。 患:こんなにしんどいと思わなかった。早く楽になりたい。でももう少し我慢して良くなるなら頑張ろうという気持ちはあるんです。 医:そう思われるのは当然だと思います(=Understand)。 本当に頑張っておられます。「あとどのくらい生きられるか」という質問ですが、少し厳しいお話になるかもしれませんが、私の考えをお伝えしてもよろしいですか。 患:はい、お願いします。 医:途中で聞きたいことがあったら教えてくださいね。一般的な経過からお伝えすると・・・・(一般的な経過やAさんの今後考えうる経過などお話。Aさんの理解を確認しながら) 患:・・・わかりました。 医:Aさんの不安に思っていることを聞いたり、できるだけ負担を軽くできるようお手伝いします。いつても教えてくださいね(=Support)。 このように患者様の感情に注目し、ニーズや思いを受け止める姿勢で関わります。 感情の高まりを理解することで、患者様の理解度や、伝える情報量などを考えることができると言われています。 ACPの意思決定の場面では、患者様自身の思いを表出していただくことがとても大切ですね。 患者様とともに歩ませていただく立場として、思いのすれ違いが少なくなるよう、コミュニケーションスキルも今後学びを深めていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ひのでクリニック