こんにちは!診療チーム看護師です。在宅緩和ケアシリーズ7回目の今回は、現場発信のQ&Aです。
私たち診療同行看護師は訪問診療に同行し患者様ご家族が不安に思われていること、疑問、困りごと、ご希望に触れる機会を多く持たせていただけます。疑問や不安を言葉にして教えていただき、それにお応えすることで少しでも穏やかな気持ちで生活していただけたら・・・と考えています。
今回は看護師から見た現場の日常のひとコマを切り取ってQ&Aでご紹介します。

緩和ケアと聞くと最終末期のイメージを持たれるかもしれませんが、治療中から緩和ケアは始まっています。患者様ご家族が希望に沿った生活を送れるようQOLを維持するためのケアです。在宅緩和ケア=在宅看取りでもありません。全人的苦痛の緩和のその先に、「どこでどのように過ごしたいか」療養場所の選択先を提示したり一緒に考えていくことを大切にしています。

点滴してもらいたい
食事や水分をとる量が減ってくると、ご家族としてはとても心配になられると思います。食べないと弱ってしまう・・・食べて欲しい・・・食べてないから点滴をしたほうがいいのではないか?点滴でもしてもらったら元気になるのではないか?そんなお気持ちが伝わってきます。
点滴の必要性は、患者様の状態とご家族の希望を総合的に判断し、医師が丁寧に説明します。体調によっては、点滴を追加することで呼吸・循環など体に負担をかけてしまう場合もあります。点滴を追加しない方が体の負担が少なく過ごせるケースもあるため、状況に応じた点滴管理を行います。
在宅緩和ケアでは、静脈点滴以外にも、体の負担が少ない皮下点滴も選択肢の一つとしてご提案しています。

何を食べさせたらいいのか?
当院では、医師の診療に管理栄養士も同行しています。食欲低下時の相談はもちろん、患者様ご本人とご家族が大切にされている食の希望を伺い、安全にQOLを維持できる食事内容や工夫について専門的なアドバイスを行います。好きなもの、どんな味が好きなのか、食べやすいもの、食べたいものなどを教えていただきながら、どんなものを試すか、調理時のひと工夫などを一緒に考えていきます。


医療行為を家族がしてもいいのか?
病院に入院していると、常に医療者が近くにいて、ナースコールを押すと5分以内に医療者が来てくれる環境があると思います。しかし、在宅療養では在宅サービスを利用したとしても、医療者が近くにいないご家族だけの時間がほとんどです。自宅療養を選択されたのは、住み慣れたお家で、ご家族とともに穏やかに過ごしたいお気持ちがあるからだと思います。
「せっかくの在宅療養」を大切にするため、医療従事者が対応する医療を中心にするのではなく、ご本人ご家族の「生活」を中心に考えて、ご家族が対応できる方法を一緒に考え準備することを重要視しています。痰吸引や点滴の接続外しなどの処置は、医療従事者が実施する場合は「医療行為」ですが、ご家族が実施する場合は「医療的ケア」と呼ばれます。もちろん、不安や介護による心身の負担を考慮し、共にトレーニングを行い、ご家族が「できること」を増やしていきます。これにより、ご家族が自律的にケアに参加でき、患者様ご本人のより深い安心感につながります。医療者が全てを行うのではなく、ご家族の持てる力を引き出す支援をすることが在宅医療の特徴です。

強い痛みなどの急激な症状が出た時には救急車を呼ぶのか?
在宅療養中にご家族が最も不安に思われるのが、「急に苦しみだしたらどうしよう」「医療者でもない家族はなにもできない」といったことではないでしょうか。
当院では、急な痛みや吐き気、息苦しさなど、予測される症状の悪化に備え、ご家族がすぐに使える頓用薬(レスキュー薬)をあらかじめ処方しています。
緊急時には、24時間体制の緊急電話番号へご連絡ください。電話で現在の症状や困りごとを伺い、医師または看護師が具体的なアドバイスをいたします。専門的な判断や処置が必要と判断した場合は、深夜や休日であっても、医師または看護師がご自宅に訪問(緊急往診)します。

在宅でもしんどさを取る処置をしてもらえるのか?
はい。ご自宅で症状緩和に必要な医療処置が可能です。
現在の在宅医療では、緩和ケア病棟とほぼ同じような医療処置が可能になっています。
疼痛コントロール・症状コントロールは、内服薬、貼付薬、座薬に加え、麻薬持続皮下注射やPCAポンプ管理など専門的な疼痛管理を日常的に実施しています。
身体的苦痛の緩和:として、貧血による倦怠感や息苦しさに対する赤血球輸血・血小板輸血、心不全の呼吸困難に対する強心薬持続投与、腹水による苦痛を和らげる腹腔穿刺、褥瘡処置など、高度な医療処置にも対応しています。
多職種と連携し介護ベッドやマットレス、手すりの設置など状態に応じて生活環境を整えること、社会的・精神的なケアも行うこと、これらが医師による症状コントロールとともに身体症状の軽減にもつながります。

電話してもいいのか?
もちろんです!当院は24時間365日、「つながる、相談できる」体制を確保しています。症状が出てきそう、なんかおかしい、薬を使うか迷うなど、症状が悪化する前に「迷ったら電話!」していただくように推奨しています。電話相談の対応だけで済むこともあり、必ず往診になるわけではありませんので、まずはご相談ください。

電話は訪問看護ステーションにするのか?クリニックにするのか?
当院の訪問診療を受けていただく患者様には、夜間休日にもつながる当院の緊急電話番号をお伝えしています。体調の急激な変化が生じた場合、薬の使い方の相談などはクリニックにご連絡ください。生活面やケア面での困りごとであれば訪問看護ステーションやケアマネジャーにご連絡ください。迷った時にはどちらに連絡をいただいても構いません。常に連携できる体制を取っていますので、事業者間で互いに連絡を取り合い適切な処置・ケアを提供いたします。

入院したいときにすぐに入院できるのか?
患者様ご本人やご家族が療養場所の変更(入院)を希望された場合、まずはご本人の「最期までどう生きたいか」という意思(ACP)を確認し、その「揺れる心」を丸ごと受け止めます。入院をご希望の場合は、事前に紹介し患者様ご家族に面談に行っていただく必要があるケースも多くあります。まずは、「どこで誰とどのように」過ごしたいか、教えてください。ご希望に沿って必要な手順をご案内します。

トイレに行けなくなったらどうしたらいいのか?
これも在宅療養をされるご本人・ご家族ともに不安になることの一つだと思います。「オムツなんて嫌!」「おむつ交換なんてしたことがない」どうしたらいいのだろう?と思われると思います。
トイレに行けなくても排泄方法には様々な選択肢があります。
トイレまでの移動が難しければ、歩行器や手すりなどの福祉用具を導入することで、支援があればトイレに行けるかもしれません。自宅のトイレまで行けなくてもベッドのそばにポータブルトイレを置く、ベッド上やベッドサイドで尿器や便器を使う方法もあります。オムツの使用や膀胱にカテーテルを入れて排尿する方法もあります。
多職種連携で患者様ご家族の生活の困りごとやご希望を伺いながら、一緒に解決策を考えていきます。

緩和ケアはがんの方だけのものではありません。当院では症状緩和に強い複数の医師が連携し、あらゆる疾患に伴う苦痛や不安を和らげ、生活しやすい治療を心がけています。ご本人とご家族の想いを第一に、ご自宅での穏やかな療養、症状緩和と温かな看取りを全力でサポートいたしますので、いつでもご相談ください。

 

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