ワクチンで感染症を予防しよう ~インフルエンザワクチン~
毎年この時期になると流行しやすいインフルエンザ。
広島県でも感染が増加傾向にあります。
インフルエンザを予防するためには手洗いやうがい、マスクの装着などの基本的な感染予防対策が重要ですが、とくに「予防接種」が効果的です。
予防接種を受けることで、インフルエンザにかかりにくくなり、万が一かかった場合でも症状が軽く済むことが期待できます。
これまで、インフルエンザワクチンには注射型(インフルエンザHAワクチン)しかありませんでしたが、2024年10月からは、鼻から噴霧して接種する「フルミスト」(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)が新たに使用できるようになりました。
ただし「フルミスト」には対象年齢があるほか、接種を避けた方が良い場合もあります。
今回は注射型ワクチン(インフルエンザHAワクチン)とフルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)のそれぞれの対象年齢や特徴についてご紹介します。
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【対象年齢】
*注射型
生後6ヵ月以上のすべての人が対象です。生後6ヵ月から13歳未満の子どもは年2回の予防接種が推奨されており、13歳以上は年1回の接種です。
*フルミスト
現時点において日本では2歳〜18歳までが対象となっており、接種回数は年1回とされています。
【ワクチンのちがい】
*注射型
不活化ワクチン(病原体となるウイルスを処理し感染能力を失わせたもの)であり、ウイルスが体内で増殖しないため安全性が高いとされています。
*フルミスト
生ワクチン(生きたウイルスを弱毒化して使用するもの)で、体内で一時的にウイルスが増えることがあります。そのため、自然免疫反応が活性化しやすいといわれています。
【ワクチンの特徴】
*注射型
・18歳以上の方はフルミストの対象外であるため、注射型を接種します。
・不活化ワクチンであるため、妊娠中や免疫不全の方も接種可能です。
・ワクチンを接種していてもインフルエンザにかかることがありますが、軽い症状で済む傾向があります。
*フルミスト
・注射が苦手な子どもや若者に適しています。
・生ワクチンであるため、妊娠中や免疫不全の方は接種できません。
・鼻の粘膜に直接作用し免疫を誘導するため、高い感染予防効果が期待できます。
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また、フルミストの接種を検討する際には、以下のことを知っておきましょう。
*接種後1〜2週間のあいだワクチンウイルスが排出される可能性があり、飛沫や接触を通じて感染するリスクがあります。接種後は妊娠中や重度の免疫不全の方との接触は避けることが推奨されます。
*接種後に、鼻水、鼻づまり、せき、のどの痛み、頭痛などの 副反応が現れることがあります。
さらに、日本小児科学会では以下の方においては「注射型」ワクチンの接種を推奨しています。
・妊娠中の方
・喘息の既往がある方
・ゼラチンアレルギーがある方
・近くに授乳している方や免疫不全の方がいる場合
・免疫不全の疾患がある方
・脾臓がない方
・中枢神経系の異常がある方(例:人工内耳埋め込み術を受けている・内耳の先天性形成不全・持続的な脳脊髄液の交通など)
注射が苦手な方やお子様には、鼻から接種できるインフルエンザワクチン「フルミスト」が予防接種に対する気持ちの負担を軽減する方法のひとつになるかもしれません。
今年から導入された「フルミスト」を含め、インフルエンザワクチンの接種を検討する際に、この記事がお役に立てたら幸いです。
参考サイト
・フルミスト点鼻液|第一三共 Medical Community
・経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方|日本小児学会