こんにちは、算定チームです。

今回は、2024年の診療報酬改定で新たに導入された「在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料(200点)」についてご紹介します。

2024年の診療報酬改定において新設された「在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料(200点)」は、在宅療養中の末期の悪性腫瘍の患者が緊急時に適切な医療を迅速に受けられるよう、ICTを用いて事前に医療機関や関係機関との情報連携体制を整備・強化するために導入されました。

これは、在宅医療を受けるがん患者が増加する中、緊急時の対応が遅れることを防ぎ、患者の安全性と安心感を向上させるための重要な取り組みです。

【算定要件】
「在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料」は、以下の要件を満たす場合に算定されます。
• 過去30日以内に在宅医療情報連携加算を算定している末期の悪性腫瘍の患者に対し、医療関係職種等が、当該患者の人生の最終段階における医療・ケアに関する情報について、当該患者の計画的な医学管理を行う医師が常に確認できるように記録している場合であって、当該患者の病状の急変時等に、当該医師が当該患者の人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を活用して患家において、当該患者及びその家族等に療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。
• 在宅で療養を行っている末期の悪性腫瘍の患者に対して診療等を行う医師は、療養上の必要な指導を行うにあたり、活用された当該患者の人生の最終段階における医療・ケアに関する情報について、当該情報を記録した者の氏名、記録された日、取得した情報の要点及び患者に行った指導の要点を診療録に記載すること。

この指導料の導入により、在宅で療養を行っている末期の悪性腫瘍の患者やその家族は、あらかじめ緊急時の対応について理解を深めることができます。

具体的には、患者や家族がどのような症状が緊急を要するか、またどのタイミングで医療機関に連絡するべきかを指導されることで、心の準備が整い、在宅療養中でも安心感を持って生活できるようになります。

例えば、突然の体調不良や症状の悪化があった場合でも、適切な対応が取れるため、余計な不安や混乱を避けられます。

 

また、この指導料の導入は、医療機関同士の情報共有や連携強化にもつながります。患者の状態や病状に関する情報が迅速かつ正確に共有されることで、緊急時には適切な医療措置が速やかに提供されます。

たとえば、在宅療養中の患者が緊急搬送される際、受け入れ先の医療機関が事前に必要な情報を把握しているため、適切な処置や治療を迅速に行うことが可能です。これにより、患者の安全が確保され、重篤な事態を未然に防ぐことが期待されます。

 

この取り組みは、患者のQOL(生活の質)の向上にも寄与し、安心して自宅での療養を続けられることは、患者や家族の精神的な負担を軽減し、生活の質を高める要因となります。また、医療機関の効率化にも寄与し、限られた医療資源をより効果的に活用することができます。

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