私が在宅医療に興味をもったのは、勤務医のときでした。
担当の入院患者さまを在宅医に紹介するときに、なかなか在宅医がみつからないという経験をしました。また、介護保険制度はおぼろげながら知っていましたが、詳しい内容は知らず、患者さまが、自宅でどのような生活をしているのか、またどんなことで困っているのかをほとんど知らないことに気がつきました。
休みを利用して、在宅医療を手がけている診療所を見学し、訪問診療に同行させてもらったのですが、自宅に訪問すると患者さまの暮らしぶりや困りごとがよくわかり、患者さまの生活中心の医療にとても魅力を感じました。

元々、開業志望で、幅広い患者さまを診療したいとの希望があり、感染症、がん、アレルギー、人工呼吸器の調整、そして看取りを含めた医療と様々な疾患に関われる呼吸器内科を専攻としました。
また、一般内科としての経験も積みたいと考え、地域の総合病院で内科として消化管内視鏡なども経験しました。
在宅医療としてがんの緩和が非常に重要と考え、緩和ケア科勤務し症状緩和の研鑽も積み、在宅医療の世界に入りました。
はじめは成人、高齢者の在宅医療中心でしたが、自分で開業したときに小児患者さまの依頼が来たときに断りたくない、と考え、日本の小児在宅医療のパイオニアである前田浩利先生が運営されている医療法人財団はるたか会あおぞら診療所墨田、新松戸に勤務し小児在宅医療を学びました。

そこで、小児在宅医療を必要とする患者さまとそのご家族が、非常に困っているという現状をあらためて知りました。また、常々内科医として身体的には検査をしても異常はみつからないのに、様々な症状で困っている患者さまをみていて、心の問題が症状として出ている患者さまがとても多いのではと思っていました。
そうしたときに、内科医が心療内科をみるという、PIPC(psychiatry in primary care)に出会いました。医師としての幅を広げたいと思っていましたので、PIPCの日本での先駆者である医療法人奏愛会信愛クリニックに勤務をしました。
私のこれまでの経験で小児在宅患者の診療、また心療内科の診療をするようになって医師としての幅がとても広がったと感じています。そうした経験を生かし広島の地域医療に貢献したいと思い、ひのでクリニックを開院いたしました。

緩和ケア、小児から成人までの在宅医療、心療内科のいずれかを経験したい医師、また将来的に開業を希望されている医師には医療的面だけでなく、開業のサポート、経営的な面でもアドバイスをします。まずは、見学においでください。