仕事と介護は両立できる?家族だけで介護を抱え込まないために知っておきたいサポート
親の介護が必要になったとき、「仕事を続けながら介護できるのだろうか」「介護のために仕事を辞めなければならないのでは」と不安になる方は少なくありません。
通院の付き添いや日々の見守り、介護サービスの調整、急な体調変化への対応など、介護では家族が担うことが多くあります。仕事をしながら介護する場合、こうした負担が重なると、仕事との両立が難しくなることがあります。
しかし、介護が必要になったからといって、すぐに仕事を辞める必要があるとは限りません。
介護保険サービスや地域の相談窓口、医療・介護の専門職、勤務先の支援制度などを組み合わせることで、仕事を続けながら介護する方法を検討できます。厚生労働省も、介護に直面した労働者が仕事を続けられるよう、介護休業などの制度や企業による両立支援を案内しています。
この記事では、仕事と介護を両立するために知っておきたい支援や相談先、介護離職を防ぐために最初に確認したいことをお伝えします。
【仕事と介護を両立するために、まずやること】
親の介護が必要になったときには、まず現在の状況を整理しましょう。
仕事と介護を両立するために、最初に確認したいのは次の3つです。
1. 親にどのような介護や医療が必要なのか整理する
2. 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する
3. 勤務先で利用できる介護に関する制度を確認する
介護の負担を家族だけで解決しようとせず、介護サービスと職場の制度を組み合わせることがポイントです。
それぞれのポイントを詳しくみてみましょう。
☆親の介護で何が負担になっているのか整理する
まず、現在どのような介護が必要なのかを整理しましょう。
たとえば、次のような負担が挙げられます。
・平日の通院に付き添う
・食事や買い物を手伝う
・入浴や排泄を介助する
・日中の見守りをする
・薬を管理する
・医療機関や介護サービスとの連絡をする
・急な体調変化に対応する
介護そのものだけでなく、連絡や手続き、スケジュール調整なども家族の負担になります。
「誰が」「いつ」「何をしているのか」を書き出してみると、家族だけで対応しなくてもよい部分が見つかりやすくなります。
☆地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する
「何から始めればよいかわからない」という段階でも、相談して構いません。
地域包括支援センターは、高齢者の介護や生活について幅広く相談できる窓口です。介護保険や福祉に関する相談にも対応しており、必要な支援につなげてもらえます。
すでに要介護認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーにも相談しましょう。
相談するときは、親の状態だけでなく、自分の仕事についても伝えることが大切です。
・勤務時間
・仕事を休める曜日や時間
・通院に付き添える頻度
・家族が対応できない時間帯
・現在特に負担になっていること
こうした情報を共有すると、仕事をしている時間も考慮しながら、利用する介護サービスなどを検討しやすくなります。
☆勤務先の介護に関する制度を確認する
仕事と介護を両立するには、介護保険サービスだけでなく、勤務先で利用できる制度を確認することも重要です。
介護休業や介護休暇、所定労働時間の短縮などの措置など、仕事と介護の両立を支える制度があります。
また、2025年4月からは、介護離職防止のため、事業主による雇用環境の整備や、介護に直面した労働者への個別の制度周知・意向確認などが義務付けられています。
自分が利用できる制度や条件は、勤務先の担当部署や就業規則などで確認しましょう。
【仕事と介護の両立が難しくなるのはどんなとき?】
仕事と介護の両立が難しくなるのは、介護に長時間かかる場合だけではありません。
平日の通院、介護サービスの調整、急な体調変化への対応など、予定を立てにくい負担が積み重なることも大きな要因です。
☆平日の通院や受診に付き添う必要がある
仕事をしている家族にとって、平日の通院への付き添いは負担になりやすいものです。
診察を受けるだけでなく、移動や待ち時間、医師からの説明を聞くことなどにも時間が必要になります。
通院の付き添いが継続的な負担になっている場合は、主治医やケアマネジャーに相談しましょう。
本人の状態によっては、訪問診療など、自宅で医療を受ける方法を検討できるケースがあります。
☆日中の見守りや生活援助が必要になる
親が一人で過ごすことに不安があったり、食事や入浴などに介助が必要になったりすると、日中の対応が必要になることがあります。
仕事中は家族が対応できないため、家族だけで介護を担おうとすると、仕事との両立が難しくなりやすいでしょう。
食事の準備や買い物、入浴や排泄の介助など、こうした負担の一部は、本人の状態や要介護度などに応じて介護保険サービスを利用できる場合があります。
仕事中の時間を含め、家族が担う部分とサービスに任せる部分を整理することが、両立につながります。
☆急な体調変化への対応が必要になる
介護では、予定どおりに進まないこともあります。
たとえば「急に体調が悪くなった」「これまでできていたことが難しくなった」といった出来事が起こる場合があります。
こうした状況が続くと、「いつ仕事を休むことになるかわからない」という不安を感じるでしょう。
そのため、普段からケアマネジャーや医療・介護の専門職に相談し、状態が変化したときに誰へ連絡すればよいのかを確認しておくと安心です。
【介護離職を防ぐために知っておきたい職場の制度】
介護離職とは、家族の介護を理由として仕事を辞めることです。
介護が始まったとき「仕事と介護の両方は無理だから、退職するしかない」と考えてしまうことがあります。
しかし、介護に直面したときは、退職を決める前に利用できる制度を確認することが大切です。厚生労働省も、介護に直面してもすぐに退職せず、仕事と介護を両立するための制度を活用するよう案内しています。
☆介護休業を確認する
介護休業は、要介護状態にある家族を介護するために取得できる休業制度です。介護サービスの手配や、仕事と介護を両立するための環境を整える期間として活用することもできます。
取得できる条件や日数、申出方法などには一定の要件があります。自分が対象になるかどうかは、勤務先の担当部署などで確認しましょう。
☆介護休暇を確認する
介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や世話をするために取得できる休暇です。
たとえば、通院への付き添いや介護に関する手続きなど、短時間の対応が必要な場合に利用を検討できます。
介護休業と介護休暇は目的や使い方が異なるため、どちらが自分の状況に合っているか確認しましょう。
☆勤務先の制度を確認する
勤務先によっては、所定労働時間の短縮など、仕事と介護を両立するための措置を利用できる場合があります。
介護のために毎日長時間休むのではなく、勤務時間を調整することで対応できるケースもあるでしょう。
・勤務時間を変更できるか
・休暇を利用できるか
・残業を減らせるか
・在宅勤務などの働き方を相談できるか
など、自分の勤務先で利用できる制度を確認してみましょう。
【仕事と介護を両立するために利用できる介護保険サービス】
仕事と介護を両立するには、家族がすべての介護を担うのではなく、必要な部分を介護サービスにつなげることが重要です。
介護保険には、自宅で利用するサービスや、施設に通って利用するサービス、短期間施設に宿泊するサービスなどがあります。
☆訪問介護を利用する
訪問介護では、訪問介護員が自宅を訪問し、入浴・排泄・食事などの介護や、調理・洗濯・掃除などの生活援助を行います。
仕事をしている時間帯に家族が対応できない場合など、本人の状態やケアプランに応じて利用を検討できます。
☆通所介護を利用する
通所介護、いわゆるデイサービスでは、施設に通って食事や入浴などの支援を受けたり、機能訓練などを受けたりします。
日中の時間をサービスにつなげることで、家族が仕事をしている時間帯の支援を検討しやすくなります。
☆ショートステイを利用する
家族が一時的に介護できない場合などには、ショートステイを利用できることがあります。
仕事の都合だけでなく、家族の用事や休息が必要な場合など、さまざまな状況で利用を検討可能です。
利用できる条件や期間などは本人の状態やサービスによって異なるため、ケアマネジャーに相談しましょう。
☆訪問看護や福祉用具なども検討する
介護保険サービスには、訪問介護や通所介護だけでなく、訪問看護や福祉用具貸与などもあります。
訪問看護では、看護師などが自宅を訪問し、療養生活を支援します。福祉用具貸与では、車いすや介護用ベッドなど、日常生活や介護に役立つ福祉用具を利用できます。
どのサービスが必要かは、本人の状態や生活環境によって異なります。
「家族が困っていること」をケアマネジャーに具体的に伝え、仕事中の時間帯も含めてサービスを組み合わせましょう。
【仕事と介護を両立するために、誰に相談すればよい?】
介護の悩みを家族だけで解決する必要はありません。困ったときは、内容に応じて相談先を選びましょう。
・何から始めればよいかわからない
→ 地域包括支援センター
・介護保険サービスを利用したい
→ 地域包括支援センター・ケアマネジャー
・ケアプランを見直したい
→ ケアマネジャー
・病状や通院について相談したい
→ 主治医・医療機関
・自宅で医療を受けたい
→ 主治医・在宅医療を提供する医療機関
・介護休業などを利用したい
→ 勤務先の担当部署・人事担当者
地域包括支援センターは、地域の高齢者や家族の総合相談窓口として、市町村が設置しています。
「介護のことでどこに相談すればよいかわからない」という場合は、まず地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。
【家族で介護の役割を分担し、一人で抱え込まない】
介護を一人で担う必要はありません。
同居している家族だけでなく、遠方に住んでいる家族も、できる範囲で役割を分担できます。
☆介護以外の役割も分担する
介護では、身体的な介助だけでなく、さまざまな仕事があります。
たとえば、
・ケアマネジャーとの連絡
・費用や各種手続き
・日用品の購入
・定期的な電話や訪問
・本人の希望や生活状況の確認
などです。
遠方に住んでいる家族でも、電話やオンラインで本人の様子を確認したり、手続きや費用の管理を担当したりできる場合があります。
「一番近くに住んでいる人がすべて介護する」という分担にせず、それぞれの仕事や生活に合わせて役割を決めましょう。
☆家族が無理なく続けられる範囲を決める
家族ができることでも、毎日続けることが難しければ、介護サービスの利用を検討する必要があります。
大切なのは、「家族ができるか」だけではなく、「無理なく続けられるか」という視点です。
仕事や家庭生活を犠牲にして介護を続けるのではなく、家族が担う部分と専門職に任せる部分を分けて考えましょう。
【通院が負担なら在宅医療も選択肢になる】
通院の付き添いが仕事と介護の両立を難しくしている場合は、医療の受け方を見直すことも選択肢です。
本人の状態によっては、訪問診療などの在宅医療を検討できる場合があります。
☆訪問診療はどのような場合に検討する?
訪問診療は、通院が難しい患者さんに対して、計画的・定期的に医師が訪問して診療する仕組みです。対象となるかどうかは、本人の状態や医療機関の対応などによって異なります。
たとえば「外出や移動が本人の負担になっている」「今後の通院が難しくなりそう」
といった場合には、主治医に相談してみましょう。
☆医療と介護を連携させる
在宅療養では、医師だけでなく、訪問看護師やケアマネジャー、介護サービスのスタッフなどの多職種が関わることがあります。
それぞれの専門職に情報を共有しておくと、本人の状態が変化したときにも支援を見直しやすくなるためです。
家族がすべての情報を管理するのではなく、医療と介護の専門職が連携できる環境を整えることも、仕事と介護を両立するうえで大切です。
【介護の状況が変わったら、支援も見直す】
介護の必要性は、時間の経過とともに変化します。
最初は家族のサポートだけで対応できても、身体機能の変化や認知症の症状などによって、これまでの方法では対応が難しくなる場合があります。
そのため、一度決めた介護方法をずっと続ける必要はありません。
たとえば、
・家族の負担が増えたら訪問介護などを追加する
・日中の見守りが必要になったら通所サービスを検討する
・通院が難しくなったら在宅医療を検討する
・状態が変化したらケアプランを見直す
といったように、その時点で必要な支援を組み合わせていきましょう。
「まだ家族でできる」と無理を続けるのではなく、「少し負担が増えてきた」と感じた段階で相談することが重要です。
【仕事と介護は一人で抱えず、使える支援を組み合わせよう】
仕事と介護の両立では、「家族がどこまで頑張れるか」ではなく、「どのような支援を使えば、本人と家族が無理なく生活を続けられるか」という視点が大切です。
親の介護が始まったからといって、すぐに仕事を辞める必要があるとは限りません。
まずは、親の状態や現在の介護負担を整理し、地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談しましょう。
また、介護の状況は、時間とともに変化します。「少し大変になってきた」と感じた段階で相談し、その時々の状況に合わせて支援を見直していきましょう。
ひのでクリニックでは、病気だけでなく、ご本人とご家族がどのような生活を送りたいのかを大切にしながら、医療・介護の関係者と連携して在宅療養をサポートしています。
通院や療養生活、介護との両立について不安がある場合も、一人で抱え込まず、まずは医療・介護の専門職に相談することから始めてみてください。
<参考サイト>
・仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/index.html
ひのでクリニックでは緩和ケアや症状緩和に力を入れています。当院では症状緩和に強い複数の医師が連携し、あらゆる疾患に伴う苦痛や不安を和らげ、生活しやすい治療を心がけています。
ご本人とご家族の想いを第一に、ご自宅での穏やかな療養、在宅緩和と温かな看取りを全力でサポートいたしますので、いつでもご相談ください。

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