2024年の診療報酬改定についてです。
こんにちは、算定チームです。
診療報酬改定は、医療機関に支払われる医療サービスの対価である診療報酬の見直しや改善を行うものです。2024年の診療報酬改定は、医療の診療報酬改定にともない、介護や障害福祉の報酬も改定されるため、トリプル改定と呼ばれて、6月から施行される予定です。
在宅医療の診療報酬改定では「質の高い在宅医療提供体制の構築の推進」の観点から、医療DXの推進、ICT(情報通信技術)を活用した多職種連携の強化等を評価したものが新設されています。また、「患者さまの状態に応じた適切な訪問診療・往診等を推進する」観点から在医総管・施設総管の全体的な減点や単一建物診療患者数の多い区分での減点、包括的支援加算の対象者の絞り込みなどの見直しもあります。

■■■■■質の高い在宅医療の提供体制の構築を推進する観点■■■■■
★在宅医療情報連携加算の新設(届出が必要です)
・・・連携先とICTを用いて記録した患者に係る診療情報等を活用した上で、医師が計画的な医学管理を行った場合100点が算定可能になりました。

★在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料の新設
・・・在宅で療養を行っている末期の悪性腫瘍の患者の病状の急変時に、ICTの活用によって、医療従事者等の間で共有されている人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を踏まえ医師が療養上必要な指導を行った場合(200点/月)が算定可能になりました。

★往診時医療情報連携加算の新設
・・・在支診・在支病と連携体制を構築する在支診・在支病以外の医療機関が訪問診療を行っている患者に、在支診・在支病が往診を行った場合200点が算定可能になりました。
他の在支診・在支病以外の医療機関と月1回程度の定期的カンファレンスやICTで平時からの連携体制を構築していることが要件です。

★在宅療養移行加算の見直し
在支診・在支病院以外の保険医療機関が行う訪問診療について在宅での療養を行っている患者が安心して24時間対応を受けられる体制の整備カンファやICTで平時からの連携体制を構築している場合に在宅療養移行加算2(316点)在宅療養移行加算3(216点)が算定可能になりました。

★在宅ターミナルケア加算等の見直し
本人の望む場所でより患者の希望に沿った看取りを支援する観点から、在宅ターミナルケア加算について在宅ターミナルケア加算・看取り加算の要件緩和:退院時共同指導料を実施していれば、訪問診療開始前に往診で看取り対応となった場合でも、在宅ターミナルケア加算、看取り加算の算定が可能になりました。

■■■■■核患者の状態に応じた適切な訪問診療・往診等を推進する観点■■■■■
★在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の見直し
・在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の算定における単一建物診療患者の数が「10人以上」の区分が「10-19人」、「20-49人」、「50人以上」に細分化。「20-49人」、「50人以上」の区分はこれまでより低い点数が設定されています。
・単一建物診療患者の数が10人以上の患者について、当該保険医療機関における直近3月間の訪問診療回数及び当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関(令和6年3月31日以前に開設されたものを除く。)における直近3月間の訪問診療回数を合算した回数が2,100回以上の場合であって、次の要件をいずれかを満たさない場合はそれぞれ所定点数の100分の60に相当する点数を算定する。
(イ)直近1年間に5つ以上の保険医療機関から、文書による紹介を受けて訪問診療を開始した実績があること。
(ロ)当該保険医療機関において、直近1年間の在宅における看取りの実績を20件以上有していること又は重症児の十分な診療実績等を有していること。
(ハ)直近3か月に在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料を算定した患者のうち、施設入居時等医学総合管理料を算定した患者の割合
が7割以下であること。
(二)直近3月間に在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料を算定した患者のうち、要介護3以上又は「特掲診療料の施設基準等」別表
第八の二に掲げる別に厚生労働大臣が定める状態の患者の割合が5割以上であること。

★頻回訪問加算の見直し
・・・初回は800点(200点プラス)、2回目以降の月は300点と減点されています。

★包括的支援加算の見直し
・・・対象患者の範囲について要介護度2以上から3以上、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱb以上からⅢ以上に引き上げされているともに、対象患者に新たに「麻薬の投薬を受けている状態」を追加になりました。

★在宅患者訪問診療料の見直し
・・・在支診・在支病における在宅患者訪問診療料の算定について、患者1人当たりの直近3月の訪問診療の回数が12回以上の場合、同一患者につき同一月において訪問診療を5回以上実施した場合、5回目以降の訪問診療については、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。ただし、下記の状態の患者は訪問診療の回数の計算対象となりません。
• 別表第七に掲げる別に厚生労働大臣の定める患者。
• 対象期間中に死亡した者。
• 末期心不全の患者、呼吸器疾患の終末期患者。
• 対象期間中に訪問診療を新たに開始した患者又は終了した患者。

★往診料の見直し
かかりつけ患者以外への往診の評価:緊急往診加算、夜間・休日往診加算、深夜加算について、「訪問診療患者」、「連携医療機関の訪問診療患者」、「継続的に診療をしている外来患者」、「連携している介護保険施設入所者」、「それ以外の患者」で区分け。「それ以外の患者」の夜間・休日往診加算、深夜加算が減算されています。

今回の改定から、在宅医療の質を更に高めていくことやICTの活用、多職種連携、終末期のケアなど、さまざまな側面で評価が見直されています。
在宅医療は、住み慣れた地域で患者さま日常生活を支える重要な分野です。ICTの活用等のさまざまな取り組みにより、患者さまのQOL向上に寄与するために適切に対応することが求められます。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
ひのでクリニック