11月に入り、寒さを感じる季節になりました。
寒暖差により体調を崩しやすく、感染症にもかかりやすい時期です。

この時期に流行しやすい感染症のひとつに「マイコプラズマ肺炎」があります。
2020年~2022年にかけて新型コロナ感染症が流行したことにより、マイコプラズマ肺炎に罹患した人は減少していましたが、2024年春頃から再び増加傾向にあります。

マイコプラズマ肺炎とは一体どんな病気なのでしょうか。
今回はマイコプラズマ肺炎の主な症状や治療についてご紹介します。

【どのような症状が出る?】
発熱・全身のだるさ・頭痛・喉の痛みなどの症状から始まり、数日後に咳が出てきます。
マイコプラズマ肺炎にみられる咳は「乾性咳嗽(かんせいがいそう)」という痰をともなわない乾いた咳が特徴です。
また、熱が下がったあとも3~4週間ほど続くことがあり「長引く頑固な咳」と表現されます。

マイコプラズマ肺炎の多くは気管支炎で済み、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎や重症化することもあります。経過を注意深く観察することが大切です。
まれに5~10%未満の方で中耳炎や胸膜炎、心筋炎、髄膜炎など、肺以外の病気を合併することもあります。

【どのように流行する?】
マイコプラズマ肺炎の感染経路には「飛沫感染」と「接触感染」があります。

・飛沫感染:感染した人の咳やくしゃみの飛沫を吸い込むことによるもの
・接触感染:感染した人や感染した人が触ったものに接触することによるもの

感染してから発症するまでの潜伏期間は2~3週間ほどといわれています。

【かかりやすい年齢は?】
マイコプラズマ肺炎が流行しやすいのは乳幼児~学童期です。

2024年の累積報告数から年齢別の割合を示したものによると、最も多いのが5~9歳で43.5%(2,581例)、次に10~19歳が30.9%(1,835例)という結果でした。
また60歳以上では1.8%(104例)という報告が出ています。
(いずれも2024年1月~8月末時点の累積結果)

集団行動を行う保育園や学校などで流行を引き起こしやすく、さらに子どもが学校で感染し、家庭に持ちこむことにより家庭内で感染するケースも多くみられています。

【治療】
マイコプラズマ肺炎の治療には抗菌薬が用いられることが多いです。
軽症で済む人が多いですが、重症化した場合には入院して治療を行うこともあります。
抗菌薬による治療をした場合、2~3日で解熱することがほとんどですが、解熱しない場合やその他の症状が悪化する場合は、早めに医療機関に相談してください。

※成人で、肺炎を伴わない気管支炎の場合は、抗菌薬による治療は行わないことが推奨されています。

【予防と対策】
普段から流水と石けんによる手洗いを行いましょう。
飛沫感染するため、マスクの着用や部屋の換気などの感染予防対策も大切です。
また、感染してしまった場合は、家族間でもタオルの共用は避けてください。

マイコプラズマ肺炎は誰にでもかかりうる病気です。
感染症や寒さに負けず健やかに過ごせるよう、適切な対策を心がけましょう。
体調管理において重要な「栄養」や「睡眠」もしっかりとるようにしてくださいね。

参考サイト
マイコプラズマの発生状況について|国立感染症研究所
マイコプラズマ肺炎|厚生労働省

ひのでクリニック