当院のスタッフが小児の意思決定支援についてセミナーを受講しました。
今回は小児の意思決定支援について、NICUの看護師と小児在宅医療の医師のお話しを聞かせていただきました。

みなさんは、ACPという言葉をご存知でしょうか。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング〈人生会議〉)とは、これから先の将来、もしもの時のために自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療、ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みのことをいいます。
この考え方は高齢者や成人では普及してきていますが、小児の場合は意思決定者が本人ではなく親権者となります。「子どもの最善の利益」に従い判断する必要がありますが、例えば生まれたばかりの赤ちゃんが医療的ケアが必要であった場合、「本人ならばどう考えるか」という判断が難しい状況であることもあります。

そんな中、医療的ケア児が必要としている情報はあまり得られていないのが現状です。重い障害を持ちながら社会で生活していけるのか。それはどんな生活なのか。
欲しい情報が少ない中、子どもの将来を見据えた決定をしなければいけないのは、例え子どもの親であっても難しいと思います。

講師の先生方は医療的ケア児を持つ親と関わる医療者として大切にしておくこととして・・・
・親が情報を得て物事を決定しなければならない=医療者の考えが反映されやすいということを念頭に置き、「これはこうしよう」と決めるだけでなく、親に本当は自分がどうしていきたいのか気づいてもらうためのコミュニケーション
・親の気持ちや考え方を聞き出す態勢や環境を作っておくこと
・ネガティブな感情を出しても大丈夫だという関係性の構築
などを話されていました。

今回のお話を聞いて、医療者である自分にできることは何であろうかと深く考えさせられました。当院でも医療的ケアが必要な小児の患者様、ご家族と多く関わらせていただいています。日々の診察の中で、お子様だけでなくご家族のお困りごと、不安なことを傾聴し、少しでも心配ごとを軽減できるように努めております。
医療者の一方的な考えをお伝えするだけではなく、一般的に考えられることもお伝えしながら、それぞれの患者様やご家庭の状況に合わせた情報提供ができたらと思っております。今後も日々の診察の中でのコミュニケーションを大切に、関わらせていただきたいと思います。
大変貴重なお話しをありがとうございました。
ひのでクリニック